雪の下の発電所を、冬の間どうするか

積雪した野立て太陽光発電所と雪解け後の点検ポイント

結論から言います。低圧の野立てで、雪下ろしをして得をするケースはほとんどありません。冬に失う売電は年間の数%で、雪下ろしで壊した場合の修理費はその何倍にもなります。やるべきは、雪が落ちる状態を保つことと、春に確認することです。

目次

冬に発電がゼロになっても、年間ではそれほど失っていない

1月にモニターを見て発電量がゼロだと、収入が消えたように感じます。ただ、年間で見ると印象と実態がずれます。

太陽光の発電量は日射量に比例します。岩手の冬は日照時間が短く、太陽高度も低いため、雪がなくても12月〜2月の発電量は年間で最も少ない時期です。晴れていても夏の3分の1程度しか出ません。

つまり、雪で失っているのは「年間の4分の1」ではなく、もともと小さい分の一部です。ここを冷静に押さえておかないと、数万円を守るために数十万円を失う判断をします。

雪で失う分より、はるかに高くつくもの

行動 起きること 費用の規模
雪を放置する その期間の売電が止まる 数千円〜数万円
パネルの上に乗る セルの割れ・出力低下 パネル交換+工事
スコップで削る ガラス表面の傷、フレームの変形 パネル交換
無理に落として転倒 人身事故 比較にならない

雪を落として直った発電所より、雪を落として壊れた発電所のほうが多い。これが低圧の野立てで繰り返し起きていることです。

雪は、条件がそろえば自分で落ちる

野立てのパネルには傾斜がついています。日が差してパネル表面がわずかに温まると、接している面が融けて滑る層ができ、雪は塊のまま滑落します。低圧の野立ては、そもそも自然に落ちる前提で設計されています。

落ちないときは、たいてい理由があります。

  • 落ちた雪が下端に積み上がっている:地面からパネル下端までの高さが低い設置だと、落ちた雪が壁になって次が滑れない
  • 湿った雪が凍りついている:みぞれのあと冷え込むと、表面に張りついて滑らない
  • 雪の上に落ち葉や汚れが乗っている:日射が届かず融け始めない
  • 影になっている:北側の列、樹木や建物の陰

1番目が最も多い原因です。問題はパネルの上ではなく、パネルの下です。ここを空けておけば、次の雪も自然に落ちます。

それでも人が動かすべき場面

次に該当する場合は、放置ではなく対応を検討します。

  1. 落ちた雪がパネル下端を完全に埋め、そのまま固まっている:融解と凍結を繰り返すと氷の塊になり、下端フレームを押します
  2. 特定の列だけ何週間も雪が残っている:架台の傾きや設置角度の問題が隠れている可能性があります
  3. 雪の重みで架台が明らかに傾いている:これは緊急です。近づかず業者に連絡してください

1番目は、パネルではなくパネルの下の雪をどける作業です。パネルには触りません。これが冬の作業として唯一、費用対効果が合う可能性のあるものです。

雪下ろしをするなら、守ること

それでもご自身で作業する場合、次は絶対に守ってください。

  • パネルの上に乗らない:見た目に頑丈でも、荷重は点で効きます。乗った時点でセルが割れることがあります
  • 金属のスコップを使わない:ガラス表面のコーティングが傷つき、汚れが定着しやすくなります
  • パネルの下にもぐらない:雪を抱えた架台の下は、荷重が最大の状態です
  • お湯をかけない:温度差でガラスが割れます
  • 1人で作業しない:足元は氷です

そして最も重要なこと。太陽光パネルは、日が当たっている限り発電を止められません。ブレーカーを切ってもパネル側の電圧は生きています。雪でケーブルが引っ張られて被覆が傷んでいる場合、そこに触れると感電します。雪をどける作業と、電気設備に触れる作業は、まったく別の危険度です。

冬に見ておくべきなのは、発電量そのものより「差」

冬の発電量は少なくて当たり前なので、絶対値を見ても異常は分かりません。見るべきは差です。

  • 晴れた日に、まったく上がらない:雪ではなく機器側の停止を疑う
  • 他の年の同じ月と比べて明らかに低い:パワコンが1台落ちている可能性
  • 雪が解けたのに戻らない:これが最も危険なサイン

3番目を見逃すと、春から夏の稼ぎ時をそのまま損失にします。冬に止まったものが、冬のせいだと思われたまま4月を過ぎていく。これが低圧で最も多い損失の形です。パワコンの停止に気づけない理由は別の記事にまとめています。

本当の勝負は、雪が解けた直後

冬の間にやることは、実はそれほど多くありません。重要なのは3月下旬から4月です。

この時期は、冬に動いたものが雑草に隠れる前の状態で見えます。確認すべきは次です。

  1. 架台の脚部・地際:凍上で杭が押し上げられていないか、周囲の土が沈んでいないか
  2. パネル下端のフレーム:落雪による変形・打痕
  3. ケーブルとクリップ:雪の重みで引っ張られて外れ、地面に垂れていないか
  4. ボルトの緩み:凍上と融解の繰り返しで緩みます
  5. 発電量の回復:雪が消えて例年並みに戻ったか

5月に入ると草が伸びて、1番目と3番目は確認できなくなります。雪解けから草が伸びるまでの数週間が、1年でいちばん状態が見える時期です。

冬に何もできない発電所こそ、春に見る

当社は岩手県内で低圧太陽光発電所の保守管理に携わってきました。冬の対応方針はシンプルです。無理に雪を動かさず、落ちる状態を保ち、雪解け直後に全数を確認する。

年間メンテナンスは初年度77,000円〜(税込・敷地1,200㎡まで・除草込み)です。冬季の異常時の対応と、雪解け後の点検を含みます。点検で見る項目は点検内容のページ、費用は料金ページにまとめています。冬の発電に関するご質問はよくあるご質問もご覧ください。

雪を心配するより、春に確認する

冬にできることは限られています。逆に言えば、冬に焦って動かないことが、いちばんの対策です。失うのは年間の数%、壊せば数十万円。この比較を毎年思い出してください。

雪解け後の状態確認は無料で承っています。盛岡・花巻・北上などの内陸部から、宮古・釜石などの沿岸部、宮城県北部まで対応しています。

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