金額が6倍違うのは、業者の良し悪しではありません。工法・回数・処分費・敷地条件・点検の有無という、比べているものが最初から違うためです。単価だけを並べても意味がありません。
太陽光発電所の除草費用を調べると、次のような数字が出てきます。
| 作業 | 単価(1㎡あたり) | 出典 |
|---|---|---|
| 除草剤の散布 | 35円〜 | エナジービジョン |
| 除草剤の散布 | 60円〜 | SOLSEL |
| 除草剤の散布 | 100〜200円 | アースコム |
| 草刈り | 50円〜 | エナジービジョン |
| 草刈り | 200〜300円 +処分費200円 | アースコム |
同じ「除草剤の散布」で、35円と200円。約6倍の開きがあります。草刈りも50円と300円で同じくらい違う。
これを見て「どれが本当なんだ」と思われるのは当然です。ただ、どれかが嘘をついているわけではありません。同じ言葉で、違うものを指しているだけです。
何が違うのかを整理します。ここが分かれば、複数社から取った見積を正しく比べられるようになります。
理由1 工法が違うのに、同じ「除草」で括られている
除草と一口に言っても、中身は大きく4つに分かれます。
- 草刈り 刈払機で刈る。1回あたりは安いが、効果が続かない
- 茎葉処理剤 既に生えている草を枯らす薬剤。これから生える草には効かない
- 土壌処理剤 土の表面に処理層を作り、発芽そのものを抑える薬剤。大きく育った草には効きにくい
- 防草シート 物理的に光を遮る。初期費用は高いが、長期では最も安くなることがある
この4つは目的も持続期間も違います。「除草 いくら」で調べたときに出てくる数字は、このどれの話なのかが書かれていないことが多い。比べても意味がないのは当然です。
理由2 回数が違う
1回あたりの単価が安くても、年に4回必要なら合計は高くなります。
草刈りは効果の持続が短く、実測で発電量が戻っている期間は約1ヶ月程度だったという報告があります。草刈りだけで対応しようとすると、年4〜5回が必要という計算になり、現実的ではありません。
一方、土壌処理剤は発芽そのものを抑えるため持続期間が長く、少ない回数で済みます。
単価が高く見える方が、年間の合計では安いことがあります。見積を比べるときは、必ず年額に直してください。
理由3 刈った草をどうするかで倍近く変わる
草刈りには、刈り倒したまま置いておく方式と、集めて敷地外に持ち出す方式があります。
集めて処分すると、刈草は産業廃棄物になります。運搬費と処分費がかかるため、費用が跳ね上がります。1㎡あたり200円前後の処分費が別途乗る、という提示をしている会社もあります。
野立ての発電所では、刈り倒したままにするのが一般的です。見積の単価が安いときは、処分が含まれていない可能性があります。
理由4 敷地の条件で手間がまったく違う
同じ1,000㎡でも、作業時間は倍以上変わります。差が出るのは次の点です。
- ケーブルが地中に埋設されているか、地表に転がっているか 地表配線だと、その周りは機械を使えず手作業になります
- パネル間の通路の広さ 狭いと機械が入らない
- フェンスとパネルの距離 際の部分は必ず手作業になります
- 傾斜の有無 法面が多いと作業効率が落ちます
- 進入路 車両が敷地際まで入れるかどうか
見積サイトに載っている単価は、条件の良い敷地を前提にした「〜から」の下限です。現地を見ずに出せる金額ではありません。
理由5 点検と報告書が含まれているかどうか
除草だけの見積と、点検・報告書まで含んだ見積を並べて「こっちが高い」と判断してしまうケースがあります。
低圧発電所のメンテナンス費用の相場は年間10万〜15万円程度とされていますが、この金額に除草は含まれていないことがほとんどです。除草を別に頼めば、そのぶん上乗せになります。
逆に、除草だけを安く請け負う業者は、パワーコンディショナが止まっていても報告してくれません。
理由6 「〜から」の下限だけを比べている
ほとんどの相場情報は「35円〜」「50円〜」という表記です。この「〜」に、上でお伝えした条件差が全部詰まっています。
下限同士を比べても、実際に請求される金額の順番とは一致しません。
理由7 交通費が込みか別か
岩手のように面積の広い県では、ここが効いてきます。片道1時間半の現場と、市内の現場では、同じ作業でも1日にこなせる件数が違います。
「1㎡いくら」の表示に出張費が含まれているのか、後から加算されるのか。見積書に書かれていないことがあります。
見積を比べるときに聞く5つのこと
複数社から見積を取ったら、次の5つを同じ条件に揃えてから比べてください。それだけで、金額の差の大半が説明できるようになります。
1. 工法は何ですか
草刈りか、茎葉処理剤か、土壌処理剤か、その組み合わせか。「除草します」だけでは判断できません。
2. 年に何回ですか。その金額は1回分ですか、年額ですか
年額に直さないと比較になりません。
3. 刈った草の処分は含まれますか
刈り倒しか、持ち出しか。持ち出しなら産業廃棄物の処分費が別途かかるのかどうか。
4. 点検と報告書は含まれますか
含まれる場合、何を見て、何枚の写真で報告するのか。「点検します」だけでは中身が分かりません。
5. 交通費・出張費は含まれますか
込みなのか、距離に応じて加算されるのか。
安さだけで選ぶと、除草費より大きな損が出ることがある
ここまで金額の話をしてきましたが、除草でいちばん大きい金額は作業費ではなく、草を放置したことで消えた売電収入です。
太陽電池モジュールは、ごく一部に影がかかるだけで、構造上モジュールの3分の1が発電しなくなることがあります。低圧1区画で年間30万円規模の損失が発生していた事例も報告されています。年1回の草刈りをしていたにもかかわらず年間41万円の損失が出ていた、という検証結果もあります。
年に5万円安い業者を選んだ結果、売電が20万円落ちていたら意味がありません。比べるべきは作業費ではなく、作業費と売電損失の合計です。
費用を下げようとして刈払機での作業を増やすのも、別のリスクを抱えます。太陽光発電所の草刈りで最も多い事故はケーブルの切断で、次いで飛び石によるパネルの破損です。当社が刈払機を使わないのはこのためです。除草の考え方はこちら
岩手・宮城北部の場合
この地域には、他の地域にない条件があります。
ひとつは農地との隣接です。農地を転用して設置した発電所が多く、隣が水田や畑、果樹園というケースが珍しくありません。この場合、除草剤が使えない、あるいは使い方を変える必要があります。単価表だけでは判断できない部分です。
もうひとつは冬期の作業不能期間です。積雪期は散布ができません。春と秋に作業が集中するため、その時期の枠が埋まると翌シーズンまで待つことになります。
当社の料金
岩手太陽光メンテナンスの年間メンテナンスは、年額77,000円〜(税込・敷地〜1,200㎡・対応エリア内)です。年2回の訪問で除草剤を散布し、17項目の目視点検を行い、写真17枚の報告書をお送りします。2年目以降は99,000円〜となります。
金額はすべて公開しています。「要見積」で隠していません。料金の全リストはこちら
※敷地の形状・傾斜・草の状態によっては上記より高くなる場合があります。金額は無料診断の際に確定してお伝えします。着手前に必ず金額をお伝えし、了承をいただいてから作業します。
まとめ
- 単価が6倍違うのは、工法・回数・処分・敷地条件・点検の有無が違うから
- 比べるときは年額に直し、含まれるものを揃えてから
- 相場情報の「〜から」は条件の良い敷地の下限。現地を見ずに出る金額ではない
- 本当に比べるべきは作業費と売電損失の合計
発電所の所在地をお知らせいただくだけです。航空写真から敷地面積を算出し、概算のお見積りを2営業日以内にメールでお送りします。現地には伺いません。他社のお見積りと比べるための材料としてお使いいただいても構いません。
出典
- エナジービジョン「太陽光発電の雑草対策 費用や失敗しない除草方法を解説」(2025年6月17日更新)
- SOLSEL「太陽光発電は雑草対策が必要!除草方法や費用について解説」
- アースコム(雑草対策の費用相場)
- タイナビ発電所「太陽光発電の安定収入には雑草対策が必須」
本記事で引用した相場は各社の公表値であり、消費税や条件の扱いが各社で異なります。実際の金額は発電所の状況によって変わります。
