防草シートを全面に敷くべきか、部分にすべきか?

太陽光発電所の架台下に部分施工した防草シート

結論から言います。低圧の野立てで最初から全面に敷く必要はほとんどありません。効くのは「パネルの下端まわり」と「架台の脚部」だけです。全面施工の見積が高く感じるのは、効かない場所にも同じ単価がかかっているからです。

目次

なぜ防草シートの見積は高く感じるのか

低圧の敷地はおおむね数百㎡から1,200㎡ほど。ここに全面でシートを敷き、押さえのピンを打ち、パネルの支柱まわりを切り欠いて処理する。面積が広いぶん、材料費より施工の手間が積み上がります

そのうえで見積を見ると、年間の除草費用の何年分かに相当する金額が並びます。「一度やれば終わるなら」と思って比較するわけですが、ここに最大の誤解があります。防草シートは、敷いて終わりではありません。

敷いても、除草はゼロにならない

これを先に押さえないと、判断を間違えます。

  • シートの上に土が乗ると、そこから草が生える:風で運ばれた土と枯葉が堆積し、シートの上で発芽します。根はシートを貫きません が、生えていることに変わりはありません
  • 継ぎ目と端部から出る:シート同士の重なり、支柱の切り欠き、敷地の縁。ここが最も出ます
  • 強い雑草は突き破る:スギナ、チガヤ、ササ類は、薄手のシートを貫通します

つまり「防草シート=除草不要」ではなく「除草の量が減る」が正しい理解です。この前提で費用を比べないと、期待した効果が出ずに両方の費用を払うことになります。

効く場所と、効かない場所

場所 敷く価値 理由
パネル下端まわり 高い 草が伸びると直接パネルに影がかかる。発電量に直結する
架台の脚部・支柱まわり 高い 刈払機を入れづらく、刈り残しが最も出る場所。地際の錆の確認も楽になる
パワコン・接続箱の周囲 高い 機器の吸排気を塞がせない。作業時の安全確保にもなる
パネルの下(中央部) 低い 日射が届きにくく、そもそも草の伸びが遅い
通路・作業スペース 低い 踏まれてシートが傷む。刈払機や薬剤で十分
敷地の外周・法面 低い 面積が大きく、影の影響もない。費用対効果が最も悪い

全面施工の見積のうち、下の3行に相当する部分が、費用の大半を占めています。ここを外すだけで金額は大きく変わります。

シートが破れる場所は決まっている

部分施工を選ぶにしても、次を知っておいてください。数年後に「敷いたのに草だらけ」になる原因は、ほぼこの4つです。

  1. ピンの打ち込みが浅い:風でめくれ、めくれた下から一気に生えます。凍上する土地では、冬にピンが押し上げられます
  2. 継ぎ目の重なりが足りない:重ねが浅いと、そこが一直線の雑草地帯になります
  3. 支柱まわりの切り欠きが雑:ここは必ず草が出ます。処理の丁寧さがそのまま数年後に出ます
  4. 薄手のシートを選んでいる:安価な織布タイプは紫外線で劣化が早く、数年で裂けます

岩手の内陸では、冬の凍上が1番目に効きます。地面が凍って持ち上がり、春に下がる。これを繰り返すとピンが浮き、端部からめくれ始めます。積雪地では、この点を考慮しない施工は数年でほどけます。

10年で見ると、どちらが安いか

比較すべきは初期費用ではなく、10年間の総額です。次の3つを並べて考えます。

  • 除草のみ:初期費用ゼロ。毎年の管理費が続く。年数分そのまま積み上がる
  • 部分施工+除草:初期費用は限定的。以降の除草の手間が減り、パネルへの影のリスクが下がる
  • 全面施工+除草:初期費用が最大。除草は減るがゼロにはならず、10年前後でシートの張り替えが視野に入る

ここで見落とされがちなのが、シートにも寿命があることです。製品によりますが、屋外での耐用は概ね10年前後。FIT期間の20年に対して、1回では足りません。全面施工を選ぶということは、10年後にもう一度その費用を払う可能性を引き受けるということです。

一方で、部分施工は効く場所に絞っているぶん、張り替えの面積も小さくなります

敷く前に確認すべきこと

見積を取る前に、次を確認してください。

  1. 今、どの場所の草がいちばん問題なのか:パネルに影がかかっているのか、単に見た目が悪いだけなのか
  2. 敷地に何が生えているか:ササやスギナが優占していれば、薄手のシートは無意味です
  3. 地面が平らか:凹凸のある地面に敷くと、浮いた部分から風が入ります。整地が必要なら、その費用も含まれます
  4. 水はけ:透水性のないシートを敷くと、雨水が表面を流れて隣地や法面に集まります
  5. 張り替えの費用:10年後の見積も聞いておく

4番目は、隣が農地の場合に特に重要です。敷地内の水の流れを変えると、隣地への流入という別の問題を作ります

見積の比べ方

複数社から取ったときに見るのは、総額ではなく次です。

  • 施工範囲が㎡で書かれているか:「一式」の見積は比較できません
  • シートの品名・厚み・耐用年数が書かれているか:材料が違えば金額が違って当然です
  • 整地・除草の費用が含まれているか:草の上に敷くことはできません。既存の草の処理が別計上か確認する
  • 支柱まわりの処理が含まれているか:ここを別途にしている見積があります
  • 敷いた後の除草をどう見ているか:「不要になります」と言い切る業者は、数年後に説明できなくなります

除草そのものの見積が業者によって大きく違う理由については、除草の見積が6倍違う理由にまとめています。

当社の考え方

当社は岩手県内で低圧太陽光発電所の保守管理に携わってきました。防草シートについては、まず1年、除草の管理をしながら敷地を見たうえで、必要な範囲だけを提案します

理由は単純で、どこに草が出るかは敷地によって違うからです。日当たり、土質、水の集まり方、隣地からの種の飛来。これらを見ずに全面を提案するのは、判断ではなく面積計算です。

年間メンテナンスは初年度77,000円〜(税込・敷地1,200㎡まで・除草込み)。除草の方針は除草・雑草対策のページ、費用は料金ページにまとめています。

迷っているなら、全面を急がない

防草シートは、敷いてしまうと戻せません。効かない場所に敷いた費用は、そのまま損失になります。まず1シーズン、どこにどう草が出るかを見てから決めても遅くありません。

現地の状態確認は無料で承っています。今の敷地でシートが要る範囲がどこなのか、その場でお伝えします。岩手県内および宮城県北部に対応しています。

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